未確認生物とネコ
妖しい魅力があるものに惹かれる性分なので、未確認生物とか怪異なコンテンツをたまにググったり雑誌ムーの特装版を保管してパラパラめくったりする。
未確認生物のジャンルに「エイリアンビッグキャット」というのがいて、それをたまたまテレビで映像を見た。
内容は・・・
地元の取材クルーが大声でレポートしながらボートに乗り、自然公園を映した映像で、対岸にエイリアンビッグキャットが!!
・・・という映像だった。
画質が鮮明だった上、どう見てもネコ科の生物であることは間違いないととれる映像だった。ヨーロッパの森にいるようなものでもなく、ボブキャットのような気性の荒さもなく。
ただその見た目よりも「エイリアンビッグキャット」の所作が気になった。
レポーターの様子を見てソソ・・・と藪に消える様子。
「人見知りだけど気は優しい子なんですよ」って家人に紹介されるイエネコみたいに控えめでスローな動き。おおよそ野生っぽくない。
なお映像と合わせ番組では「エイリアンビッグキャット」の研究をする団体にアポを取り「エイリアンビッグキャット」とはなんなのかに迫っていた。
近年の研究では「エイリアンビッグキャット」は大昔にお金持ちが娯楽目的で飼育していたヒョウの一種、とほぼ断定しつつあるとのことだった。
いわゆる、正体が判明しつつあるUMA、ということになる。
通常、正体がわかると「なるほどなー」で一区切り終わるとこだが、逆に私の中で「エイリアンビッグキャット」のエモ度数が爆発的に増してしまった。
だってつまり【半世紀以上、人間の都合で連れてこられた国で、厳しい自然の中で生態系に強い影響を与えることもなく、淡々と世代交代を続けてきた生物】ということになるじゃないか。
高いポテンシャルと順応性がありながら、「もっと生息域を広げていいもん食おうぜ」みたいな欲を張ったりしない知性や余裕を感じる営み。
その控えめなスタンスが、映像の中にすごくでていた。野生っぽくない、というよりも
「人の性質をなんとなく知っていて、互いの領分を侵すことなく去る、そんな判断ができる」という知性。
エモすぎる。
正直人間なんかいつでも殺めることができる能力がある、けどそれをしない。「能ある鷹は爪を隠す」のエモさ。聡明だと思う。
それを家族にワーワー言っていたら「おかーさんは猫が好きだなぁ」で終わってしまった。
でもそれでいい。「エイリアンビッグキャット」はこの先もずっと民間伝承的に怪しいままでいてほしい。
人間に捕まらないまま、のびのびと森に生きていってほしい。切に。