松とネコ
松は良い。
ここ数年、私がしばしば立ち寄る「旧芝離宮恩賜庭園」には松がいっぱい植っている。幹をよじらせて伸びる松、見応えがある。
それでいて飄々としていて、猫に近い趣があるよ松。
松の良さが沁みる。夏休み中で献立に悩まされながら爆音で遊ぶ娘がピクミンみたいに常についてくる日々だから一層沁みちゃうのかもね。
何故、電話応対中に限ってLEGOを床にぶちまけるのか。
▼おまけ
今年、我が家は松と暮らし始めた。
育てるとか世話してるとかじゃなく、松が勝手に暮らし始めました。
キッカケは昨年度の冬、鎌倉に出かけた際に娘と拾った松ぼっくりから種が出てきたことに遡る。
私は盆栽へ憧れ抱きし者・・・今まで幾度となく挫折してきた松の種からの盆栽づくりをしてみることにした。
小さな栽培カップに種を仕込んで3週間後、1つだけ発芽はした。他は全然しないまま、3ヶ月・・・・何も生えてこない土にずっと水をかけ続けた3ヶ月だった。尚、水をかけ過ぎたらしく1つは年を越したあたりで枯れてしまった。
ダメだったかー、と諦めて何も生えてこなかった栽培カップの土を、ベランダの他の鉢にテキトーにザーッと流しこんどいた。そして・・・
冬の寂しいベランダでまさかの発芽!
鉢の縁に積もった土埃がどんだけほったらかしていたかを物語ってる。水をかけてないどころか真冬の北風が吹き荒ぶベランダだったのに・・・
危うく雑草かと思って引き抜くところだったし、なんなら撮影した時も「松じゃなくて雑草かも」って思ってた。
原作初期のムーミンの尻尾?
このころ、何か肥料を与えたり植え替えたり日当たりを変えた方がいいかもとも思った。
しかし、下手に素人が手をかけたりしたら、トドメになってむしろ即枯らしそうな気がした。
素人が悩んだ末、彼はもう死んだつもりで接することにした。下手な使命感でいらん変化をもたらすよりは現状維持の距離感で見守ることにした。
多肉植物のお隣さんで勝手に生きてる松の子、くらいの距離感で水あげをして、命運を天に丸投げすることに。
その後・・・
鳩よけの針金のアレみたい、すくすく変貌。
脇芽も生えてきているみたいで、たぶん元気らしい。
酷暑の渇いた風に吹かれて飄々としている。
ちなみに、花屋の店先にあるようなミニ盆栽くらいになるまで5年くらいかかるそうだ。
このか細さで越冬するのか…
そんな松がベランダにあると「早くしなきゃなー」って思ってた雑事に対しての気が抜ける。
早く早くともたらす変化より、来たる時期まで委ねる気概もアリだよね、というふうに。
私がおばあちゃんになるころまで、なんやかんやで育っていってほしい。