雨とネコ
子供の頃の雨の日の記憶。
母はだいたいイラついてムスッとしていた。
水たまりはたくさんあってカタツムリとかカエルとかいて楽しいのに。子供ながらに大人はどうして急ぐのか、不思議だった。
「雨の日だからって、不機嫌にならないでほしいなー」と思っていた私も、とっくに大人になったから、あの頃の母の気持ちもなんかわかる。
濡れないように
車にはねられないように
迷子にならないように
今日が平常であるように
こういうささやかなことに「当たり前」とか「効率的に」とか「母として」とかがトッピングされたりすると、なんとなく顔がこわばってくるもんだよね。
このトッピングって雨のように降ってくるもの。
あたたかさに満ちた表情の母子ってステキだけど、静かに猛る母性もまた親しみがあって、怒りっぽいお母さん猫を描いてしまう。