毛糸と猫
憧れはあるけど苦手、編み物。
理屈はわかっていても、びっくりするほど目を見失って数えまちがう。
編み物歴は小学生のころに初心者向け編みぐるみを9ヶ月かけて作り、成人してからは毛糸のスポンジと毛糸のマットを数回作ったっきり。
どんな手作業も身体が覚えていくものだけど、数え間違いの多さはもう向いてないとしか言いようがない。
毛糸のマットは我が家の雄ウサギのムゥさんの冬用に作った。何故か厚みが違うし、何故か硬いとことやわらかいところがあるけど、彼は気にしないでしょ。とケージに入れた。
彼をマットに乗せたらクルクル回りながら検閲して、明らかに不愉快そうに私を見たあと、手作りマットはケージの壁に押し上げられ遺棄されてしまったよ。
ウサギにはモノのクオリティや趣を重んじる感性がしっかりあるようだよ。
壁に追いやられながらも枝垂れかかるマットを、前脚でバリバリとコテンパンに蹴散らす様子には、いっそ清々しさがあったよ。
使い古しタオルや梱包材の藁半紙だってちぎって遊んで布団にしたりするようなウサギすら、ハッキリ要らんと思うような出来のマットを量産したって仕方ないので、それ以来は道具一式、押し入れに仕舞っている。
冬になるたび編み物は少し私の頭をかすめる。そりゃ作れたら楽しいだろうけども。